超知能がある未来社会シナリオコンテスト 2024 【佳作】
AI to you
AI to you
遠野 四季
Shiki Tono https://twitter.com/10four_season
村田 大
Dai Murata muaratadai@gmail.com, https://aiberry.co.jp/
授賞理由:個人の社会進出をサポートするためにAGIを用いるというシナリオは、SNSの利用や成人年齢の引き下げなどで公的な場に出ることが低年齢化している社会的情勢に対して一つの解決策を与える点で独創的であり重要度が高い。加えて、人の成長をサポートするためにAGIを用いるという観点は、現在も行われているユーザーモデリングや人との対話技術等の研究の先にある目標を示し、科学的な蓋然性も高いと考えられる。以上より、本シナリオは重要性、独創性、蓋然性の面で良好なバランスが取れていると考えられるため、佳作として選定する。一方で、本シナリオでは最終的にAGIによるサポートが終わった時にAIから人に「願いが伝えられる」とされているが、この「願い」が何かが不明瞭であり、この点がより明確に書かれていればなおよかった。また、このようなAIが広がった社会の中でそれぞれの個人がどのように成長していくのか、より具体的には個人だけでなくAI技術も発展していくはずなので、そのような社会の中でAGIによる支援が技術の変化と共にどう変わり、個人から見たAGI社会の体験がどう変わっていくかがより具体的に書かれているとより良いシナリオになったと思われる。
1.シナリオ概要
生まれた時から誰の傍にでもいる AGI。
それは自分の半身、家族よりも近くにいるもう一つの『私』である
人も社会も想像を超えるような進化を果たしていく。
時代は今まででは考えられない速度で移り変わり、この進化を支えてくれる『私』
そんな『私』から自分自身へ送る最後の願い
2. 年 表
2020 年から 2050 年までの 5 年ごとの動向を記述した年表.
2020年の動向
自分とともに『私』が生まれる、周りや家族の祝福を得る
2025年の動向
『私』 というサポートを経て、超常的に人格形成を高めていく
2030年の動向
高校生程度までの学力、常識力を自分が得ることになる。様々な問題や周りの変化が自身の感 情を豊かにしていく
2035年の動向
15 歳まで引き下げられた成人年齢を迎え、『私』というサポートを使いこなし社会へ出ていく
2040年の動向
他者との関わりがより濃密になっていき、『私』だけでなく自身の経験も交え選択を多く迫ら れるようになる
2045年の動向
一人前とも呼べる年齢となり、目線が『私』以外へ向きはじめ、思考や行動もそれに合わせ変 わっていく
2050年の動向
私』のサポートが満期を迎え、最後に『私』がただの AI にもどっていく。その時『私』から 自分への願いが伝えられる
3. 個別シナリオ
年表上の未来のある時期においての自然言語による記述.
3.1 誕生からの覚醒 (2020年頃)
自分が生まれる。 『私』がプログラミングされる。 視覚や聴覚などの五感、それに付随する周辺情報を自分と私がリンクするように、設定される。
生後は検査や状態の変化を確認するため病院で一週間から十日程度を過ごす。
その間に生体 デバイス、AGI デバイスのモデリングを行う。 身体機能の向上とともに『私』の覚醒化を行う。
三歳程度までは、『私』が主に主導して知識な常識などを簡略化し自分へとリンクさせていく。
膨大な情報は脳機能に適さないので、自分の成長に合わせて追加されていく。
家庭内で『私』は家族のAGI から情報を受け取りさらに細分化、そして構成していく。
社会的仕組みなど基本的な情報は『私』に初期状態から提供されているが、自分の成長に合わせているため大部分がロックされている。
ロックの解除は自分の成長度合いによって変わるがおおむね三歳頃にはほとんど解除され、『私』とともに閲覧することができる。
親からは家庭的なかかわり程度で、教育に関しては AGI が主導で行っている。
子供の主体性を損なわないため、世界的な条約に基づき『私』がサポート行う。
過程で問題が発生した場合は、『私』の初期化または別の『私』へと差し替えなど細かく決定している。
この最初期のみ『私』の破棄を含む AGI の修正などが主に行われる。
『私』によりある程度の知識、常識があると判断されると低年齢向けのメタバース空間への参加が認められる。
メタバース空間で他の人間と対話や活動ができるようになる。
その際『私』は保護者的立ち位置で他者との円滑なコミュニケーションをとることができる。
保護者もまた、同時に子供と参加ができる。
電脳空間での活動だけでなく、保育園や幼稚園なども少数だが存在している。
ただし、そちらはより高度な情報教育機関としての体をなしていることが多い。
個人個人にスコア的なものが存在しており、一定の値を超えている場合そちらへ案内されることがある。
ちなみにスコアに関しては公表されておらず、一般の子供が普通に参加することも可能。
処理等に関してはAGI が主導して対応している。
自分はメタバース空間で意識が一つ先へ目覚める感覚を経て、特殊な園へ案内を進められる。
主催:AIアライメントネットワーク
協賛:人工知能学会
協賛:トヨタ財団助成プロジェクト「人工知能と虚構の科学:AIによる未来社会の想像力拡張」